ローヤルゼリーに含まれるアピシンとは?
○「R物質」と「アピシン」
女王蜂は、はじめから特別だったわけではありません。
何万匹もの幼虫の中から、たまたま選ばれた幼虫が女王蜂に育てられます。
働き蜂も女王蜂も最初は同じような幼虫だったのです。
では、なぜ成長するにつれて、働き蜂と女王蜂とで、
体長も寿命も、さらには身体の構造までもが異なってくるのでしょうか。
その謎のカギを握るのは「R物質」です。
「R物質」はローヤルゼリーの成分の中で、
未だに解明されていない未知の成分のことを指します。
これまでに見つかった数多くの成分からは解明できなかった
「働き蜂と女王蜂とを分化させる働き」が、
「R物質」には含まれているのではないかと考えられているのです。
デセン酸、パロチン様物質、蟻酸、アミノ酸など。
さまざまな成分が「R物質」なのではないかと考えられてきましたが、
現在のところ、これが「R物質」であるというものは見つかっていません。
また、「『R物質』は特定の成分ではなく、
ローヤルゼリーに含まれる多くの成分の配合の絶妙さが、
神秘的なパワーを引き出しているのだ」という説もあります。
一体「R物質」とは何なのでしょう。
長い間、科学者たちは頭を悩ませてきました。
ところが、最近になって、
「R物質」に最も有力だとされる脅威の物質が発見されたのです。
それが「アピシン」です。
○アピシンとは?
ローヤルゼリーには、
鶏卵と同じくらいの多くのタンパク質が含まれています。
その約20種類もある豊富なタンパク質の中で、
最も多くの割合を占めているタンパク質が「アピシン」です。
「アピシン」という名前は、
ミツバチの学名「アピス・メリフェラ」にちなんで名付けられました。
「アピシン」には、美肌効果、老化を防ぐ効果、
さまざまな生活習慣病を予防する効果があると言われています。
その効能から「働き蜂と女王蜂とを分ける働き」があるのではないかと、
期待されているのです。
では、「アピシン」の持つ効果について、
ひとつひとつ詳しく見ていきましょう。
○美肌作用と抗老化作用
茨城大学の米倉教授らが、
「アピシン」を使用したとある実験を行いました。
【実験1】=======================
培養中のヒトの血液細胞に「アピシン」を加えたところ、
1日で細胞数が5倍に増加し、5日後には7倍にも達しました。
一方、「アピシン」を加えなかった場合は4日後でも3.5倍になるだけでした。
この実験結果から、
「アピシン」を加えることにより、細胞の分裂は早まり、
細胞増殖を促す作用があるということがわかります。
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【実験2】=======================
培養中のラットの肝細胞に「アピシン」を加えたところ、
1日後には約2倍に増加し、その後はあまり増加せず、
20日後には最大時の数より1割ほど減少しました。
一方、「アピシン」を加えなかった場合は、
1日後に1.8倍に増加しましたが、その後はどんどん減少し、
1週間後には実験開始時とほぼ同じ数までに減少しました。
この実験結果から、肝細胞に対しては、
「アピシン」による増殖促進作用はさほど強くはありませんが、
増殖させた細胞を長生きさせる働きがあるということがわかりました。
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【実験1】【実験2】から「アピシン」には、
細胞分裂を早め、増殖を促す効果や、
細胞死を抑え、長生きさせる効果があることが証明されました。
ローヤルゼリーのみを食べ続けた女王蜂が働き蜂の体調の3倍までにも成長し、
かつ、通常の働き蜂の40倍までにも長生きするのは、
この効果によるものかもしれません。
老化防止効果が期待されているのも頷けます。
また、「ローヤルゼリー」は肌に良いと言われていますが、
その理由の一つに「アピシン」も関係しています。
細胞の代謝を促す働きのある「アピシン」には、
肌代謝を活性化させ、ターンオーバーを正常に調整する働きがあり、
加齢による肌の衰えにも有効的であるとされているためです。
「アピシン」は、健康面だけではなく、美容の面でも役立つ成分なのです。
○生活習慣病予防効果
米倉教授は、さらに別の実験を行いました。
【実験3】=======================
高脂肪食を与えたネズミに、
「アピシン」を含んだローヤルゼリー・タンパク質を与えたところ、
血液中の悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)濃度や、
中性脂肪(トリグリセリド)濃度、リン脂質濃度はいずれも減少し、
一方、肝臓については、
コレステロール濃度、中性脂肪(トリグリセリド)濃度、
リン脂質濃度はいずれも増加しました。
また、内臓脂肪量は減少し、
糞中のコレステロール排泄量は増加しました。
この実験結果から、
血液中に含まれていた脂質を肝臓へと取り込み、
さらに肝臓の機能を強化し、脂質の代謝を促進させ、
血液中の脂質濃度を低下させる働きがあることがわかりました。
また、中性脂肪値を下げ、
体脂肪も減少させる効果についても明らかになっています。
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中性脂肪やコレステロールの値が高くなると、
血液が固まりやすくなり、動脈硬化が進み、
心筋梗塞や、脳梗塞のリスクが高くなります。
また、血管が固く、脆くなることによって、破れやすくもなります。
さらに、心臓に負担がかかることで、心臓病になる可能性も高まり、
高血糖、高血圧、高脂血症などを引き起こす、
メタボリックシンドロームにもなり兼ねません。
「アピシン」は、自らの持つ多くの効能から、
それら多くの病気の原因に対して抑制的に働きかけることが期待され、
生活習慣病の予防や、改善に効果的だと言われているのです。
○まとめ
「アピシン」が本当に「R物質」なのかということは、
まだわかっていません。
ですが、現在最も「R物質」に有力だと言われていることは事実ですし、
女王蜂を育てる特別食である「ローヤルゼリー」の成分の中でも、
なくてはならない存在だということは明らかです。
また、「アピシン」の持つ効能が、
人間が健康な体を保つためのサポートをしてくれるということも明確です。
「R物質」であってもなくても、
「アピシン」は素晴らしい効能を秘めた脅威のタンパク質だと言えるでしょう。