ローヤルゼリーはどうやって作られる?
○養蜂について
ローヤルゼリーやはちみつを採取するために「養蜂」が行われます。
牛や羊を飼育し、牛乳を搾取したり、
羊毛を刈ったりするのと同じように、
人工的に作られた巣箱の中でミツバチを飼育し、
はちみつやローヤルゼリー等を採取するのです。
「養蜂」に用いられるのは、
ミツバチ科ミツバチ属に所属する蜜を集める蜂です。
ミツバチ科ミツバチ属に所属する蜂は世界に9種類しか存在していませんが、
中でも養蜂に適していると言われているのが、
「セイヨウミツバチ」と「インドミツバチ」です。
さらに、「セイヨウミツバチ」の中でも広く養蜂に用いられているのが、
イタリア品種とアメリカ品種を交配させた「アメリカイタリア品種」です。
長い年月をかけて改良に改良を重ねられたため、
家畜として非常に扱いやすくなっているのです。
日本でもセイヨウミツバチである
「アメリカイタリア品種」を用いた養蜂が盛んに行われています。
また、養蜂にはさまざまな専門道具が使用されています。
養蜂において、非常に重要で、
一番に必要になってくるのがミツバチの巣になる「巣箱」です。
木でできた「巣箱」の中には
ミツバチが生活する上での基盤となる「巣枠」が10枚ほど入っています。
「巣箱」の上部にはフタがついており、
普段は閉じていますが、ここを開けて「巣枠」を取り出すことによって、
はちみつやローヤルゼリー等を採取することができる仕組みなのです。
○女王蜂がいなくなったら?
ローヤルゼリーは若い働き蜂の体内で作られ、
下咽頭腺や大顎腺から分泌されます。
ローヤルゼリーを食べ続けた幼虫は女王蜂に成長し、
1日に2000~3000個の卵を毎日ひたすらに産み続け、
種族保存の役目を担います。
ミツバチの群れ(コロニー)の中で子孫を残せるのは女王蜂1匹だけです。
つまり、女王蜂がいることによって、群れは滅びずに済むのです。
働き蜂(雌蜂)も卵を産むことは可能ですが、
生殖器を持たない働き蜂は雄と交尾することができません。
無精卵、つまり雄蜂しか産むことができないため、
そのうちに群れは全滅してしまいます。
しかしながら、女王蜂がいなくなってしまったコロニーは、
全て途絶えてしまう運命なのかというとそうではありません。
群れの中に生後3日以内の幼虫がいる場合、
その群れは全滅せずに済むということが分かっています。
生後3日以内の幼虫であれば、
ローヤルゼリーを懸命に与え続けることによって、
女王蜂へと成長させることができるためです。
そのため、女王蜂がいなくなると、
働き蜂たちは子孫を絶やすまいと、
生後3日以内の幼虫を新たに女王蜂候補に任命し、
必死になってローヤルゼリーを与え始めるのです。
養蜂におけるローヤルゼリーの採取には、
このミツバチの性質が大いに活用されています。
○人口王台
ローヤルゼリーの採取には、
「人口王台」という道具が使用されます。
これは女王蜂の特別室である「王台」を人工的に作ったもので、
小さなコップのような形をしていることから「王椀」とも呼ばれています。
現在広く行われている「人口王台」を使用したローヤルゼリーの採取は、
以下のような手順で行われます。
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(1)女王蜂を蜂の群れから人為的に隔離します。
(2)巣枠の下部にプラスチックの「人口王台(王椀)」を幾つか設置し、
その中に生後3日以内の幼虫を移します。(移虫)
(3)「人口王台」を設置した巣枠を、
女王不在のコロニーが形成されている巣箱の中に納めます。
すると、働き蜂は「人口王台」の中の幼虫を女王蜂候補だと思い込み、
ローヤルゼリーをせっせと与え始めます。
(4)幼虫を移してから72時間以内に、
「人口王台」を設置した巣枠を取り出し、ローヤルゼリーを採取します。
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ローヤルゼリーは、とてもナイーブなものですので、
(1)~(4)の作業は、直射日光、熱、湿気を避け、
傷まないよう迅速に、ひとつひとつ手作業で行われていきます。
酸化しないように木製のスプーンを使用し採取するなど、
細心の注意が必要なのです。
そして、この作業を繰り返し行うことによって、
ひとつのコロニーにつき、
1年あたり250~500グラムのローヤルゼリーの採取が可能になりました。
自然の王台で育った女王蜂と、
「人口王台」で育った女王蜂とを比較しても特に体重等に大差はなく、
ローヤルゼリーの品質も自然のものと変わりがないことがわかっています。
ミツバチの性質と「人口王台」のおかげで、高品質のローヤルゼリーが
手軽に摂取できるようになったということは言うまでもありません。
こうして作られたローヤルゼリーが製品化され、
私たちの手元に届くというわけです。